ルート 大阪(梅田新道)~伊賀~名古屋~東京(日本橋)
結果 527km 35時間37分
24時間後の到達地点 378km 静岡県富士市 道の駅
twitterで応援して下さった皆様、ありがとうございました!
(10/6木)
夜、帰りの電車内で天気と風向きをチェックしたら、翌7日が晴れで、東京から大阪方向に強い追い風なのが分かった。しかし睡眠時間確保を優先し、予定通り10/8大阪スタートに決める。雨になるのが必至の予報だったが、睡眠不足のまま走ったら100~150キロ位で足がツルのも必至。
(10/7 金)
朝、風予報を再確認する。8日は午後遅くからは追い風になりそうだった。
(Sunny Spot の風予測図 http://www.sunny-spot.net/wind/)
駅まで車で送ってもらい、5時半過ぎの電車に乗って7時の新幹線で大阪へ。
昼食に大黒のかやく御飯。Y’s Roadでレイン用シューズカバーとレインキャップを仕入れ、夕食はうさみ亭マツバヤのきつねうどん。心のチャージをたっぷりして、早く寝た。
(10/8 土)
午前2時に起きて、自転車を組み立て、しっかり準備をしてからホテルを出る。夜勤のフロントの方もサイクリストで、最近しまなみ海道を走ってこられたそうだ。とても良かったと。しまなみ海道を走った友人が何人かいるのだが、みんな面白かったと言っている。いつかは走ってみたい場所だが、自分の考えている順番ではだいぶ先の話になるなあ。
4時前。予報と異なり、雨は降っていなかった。スタート地点の梅田新道には予想以上に人がいた。眠ってしまいそうな酔客や電話で迎えを呼ぶ女性。自分的には土曜の朝。世間的には金曜の晩で、場所は繁華街の北新地のすぐ近く。考えれば、当然か。
そして、一人のサイクリストがいらっしゃった・・・なんと東京~大阪のキャノンボールを中山道ルートで達成したばかりのHideさんだった。ミニヴェロでも中山道キャノンボールをやったり、キャノボ界のヒーローというべき人である。奇しくもバトンを渡された形になった。
自分は東京→大阪40時間弱だから、24時間以内に走破するのは奇跡でも起きない限り無理だ。
しかし、この大阪→東京はそのキャノンボールをやるのだ。
” Do or do not. There is no try.”
やるか、やらぬかだ。試してみるは、無い。
やると決めてから、ヨーダのこの言葉が、何回も頭に浮かんでいた。
( photo: thanks to Mr.Hide)
4時。twitterで宣言して、走り始める。
ガーミンに過去キャノンボールを達成した人のルートラボコースを移植していた。
同じコースで全ての曲がり角をメモしてトップチューブに貼っていた。後ろポケットにも大きなフォントで印刷したコピーを持っていた。
おかげで順調に進めた。
スピード以外は。
総距離を単純に23.4キロで割ったスケジュールからは、50キロ地点で30分以上遅れていた。スタート後20分はアップでその後、平地は時速30キロ以上で、上りは心拍数145~153以下に制御して、走れていた。自分としては上出来だ、7時間の睡眠が効いている。名古屋過ぎての平地でペースを上げる事ができれば32時間位で上がれるか。いや、俺は今、24時間に挑戦しているんだぞ。
"That is why you fail. "
それが失敗した理由だ
また、ヨーダの言葉が浮かぶ。
なんでだろうな。スターウォーズは好きだが、熱狂的なファンでもないのに。
7:00 60km 3時間00分 三重県伊賀市 グロス時速20キロ
田園地帯でポツッと雨が来た。前方の山は雨雲に覆われている。一番降って欲しくない場所で来るか・・加太の山道でバンクしませんように。
郵便局の前でレインウエアを着込む。年配のご婦人2人が不審気に俺を見ていたので、出発時に挨拶して大阪から東京に向かっていると告げ、貴女達が思っているよりよっぽど怪しい男である事を宣言した。2人は、まあ!と(一応驚いてみせてから)危ないから気ぃつけてやぁ、と応援してくれた。
非名阪と呼ばれる国道25号に入り、登りをこなし、小雨の中、加太に向けて山道を下る。非舗装のダート区間があるはずなので、慎重に下っていた。
と。前方右側からガサッと音がして大きな雄鹿が現れた。
宮島や動物園で見てイメージしている日本鹿の2倍はある大きさ。枝分かれした角が見事だった。
「うわっ! デカイ、カッコイイ!」
思わず叫びながら、止まる。
俺の声に" 彼 "も道の真ん中で止まった。
霧雨の降る、朝の山道。
見つめ合う、鹿と人。
" 彼 "は道を渡り、左側の林のそばまで移動した。だが、また止まって俺を見ている。
あ、写真!
後ろポケットからスマホを取り出そうとして、何故か手は止まった。しっかり見ていたかったのだと思う。そしてすぐ" 彼 "は林の中に去っていった。
俺も再び下り始める。キャノボをやった人のブログ等で出るのは知っていたが、まさか自分が野生の鹿に会えるとは。
伝説のポケモンに会ったみたいだ・・・
そんな例えが一番に出て来る自分が気恥ずかしくなって1人笑う。センタに話しても、この気持ちは伝わらないだろうなぁ。
それにしてもアイツ、カッコ良かったな。このルートを今日走って良かった。
非舗装のダート区間に来たら自転車担いで歩こうと、ゆっくり降りて行くが、結局ダート区間はなかった。後で呟いたら、昨年再舗装されて無くなったとHideさんが教えてくれた。
9:33 100㎞ 5時間33分 亀山町 グロス時速18.0キロ
スタートから100㎞地点は亀山バイパスに入ってすぐのところだった。逆方向とは言え今年2回走っているルートなので、気持ちはかなり楽になった。四日市から名古屋の平地でペースを上げたかったが、道が混んで、信号に引っ掛かる。雨は降ったり止んだり。止むと暑い。信号待ちの時間を使ってレインウエアを脱ぎ着した。
名古屋市内に入り、道が広くなった。さあ、行くぞ! と自分なりに速度を上げ、快調に進んでいると、プシュー!っといい音が。前輪がパンクした。
速攻で直し空気を携帯ポンプで入れたが200回ポンプアップしてもエアーゲージで測ると3bar程度までしか上げられなかった。ま、いいかっ、と走り出したがやっぱり頼りない感。こりゃ準備不足だったな。ソロで長距離やるならPさんみたいにフロアタイプのポンプを導入した方が良いかも。あるはボンベをチューブ数用意するか。今回はチューブ2本、ボンベ1本持って来ていたが、ボンベは夜間や箱根でパンクした場合に備えておきたい。チューブも雨なのに残り1本では不安になってきたので、市内にいる内に自転車屋さんに寄る事にした。
Googleに聞いて、一番近いサイクルベースあさひ緑店にピットイン。チューブを2本購入する。頭が動かず後ろポケットに財布をしまうのにアタフタしてる間に、お店の方が7barまで上げて下さった。ナイスアシストに元気が出た。
1号線に戻り、少し行くと同じサイクルベースあさひの豊明店があった。ありゃりゃ。でも緑店の方の親切は有り難かった。(今思うと、この時何でボンベも買わなかったンだろ)
15:00 184㎞ 11時間00分 知立市山町 藤田屋 グロス時速16.7キロ
11時間で、半分の距離まで後80㎞。キャノンボール達成できないのが確実。しかし「自分の記録」は持っておきたかった。
引き続き自分の最速でとは思っているものの、走りは少し変わった。旅的要素が増えて来る。
藤田屋で念願の大あんまきを頂く。前回7月の到着時間は朝6時半。工場でどんどん作っているのが見えるのに、販売の開店が8時で買えない、というシチュエーションだった。創業は江戸時代だそうだ。長く続いている味には必ず訳がある。飽きないンだよね。初めて食べた大あんまきは、生地と餡のバランスが良いし、餡は甘さ控えめだった。
その後しばらく淡々と1号線を進む。
すると、ゼッケンを付けて東に歩いている人達にあった。皆、自分のペースで歩いているようで、点々と長い列が続いていた。男性も女性もいて年代も幅広い。歩いている人のゼッケンを断片的に読むと、100㎞歩け歩け大会 かとう製菓 と書いてあった。俄然知りたくなって1人の方に聞くと、浜名湖までの100㎞を24時間位かけて歩くイベントだそうだ。すごいな。今、自分も同じような事をしている訳だが。後日ググったら、えびせんべいが主力製品の会社だった。西尾市の工場に直営店舗があるので、近日中に電話して取り寄せできるか聞くつもりでいる。
17:30頃日没を迎えた。
18:09 232㎞ 14時間10分 豊橋市岩屋
7月の時には気づかず通過したキャノンボウル。定番の写真をtwitterにアップした。
そして。
19:23 253㎞ 15時間23分 やっと浜名湖。グロス時速16.5キロ。
いよいよ、東海道のメインストリート、静岡県に入った。風予報を見て期待していた追い風にはならなかった。バイパス回避ルートを覚えているか不安があったが、その場に来ると思い出す。経験って大切だ。
磐田市や袋井市では秋祭が行われていた。神輿を担いでいたのだろう、法被と股引姿の人と頻繁にすれ違った。休憩のコンビニでも。何故か、皆、カッコ良く見えた。たぶん、自分が5~6年ごとに引っ越しして育ったので、地元に密着して生活している人に憧れがある、それだろな。考えてみれば柏にきて15年以上経つ。その割には地域と関わっていないのだから、単に己のスタンスの問題なんじゃないか。ずっと自転車に乗って働かない頭に、夜はいつもと違う事を考えさせてくれた。
大井川を渡り、
22:45 300km 18時間45分 掛川市本村橋 グロス時速16.0キロ
そして、金谷峠を越えた。
新規導入したパールイズミのメッシュメガグローブ のおかげで300km越えても、それ程痛くなかった。さすがである。次はバーテープもクッションのあるモノにしよう。
藤枝市のコンビニで、自分の身体の匂いに気づく。
木こりのブルースマン、W.C.カラスの歌に「雨と汗で煮含められた、軍手の煮びたし」というのがある。 軍手の煮びたし - YouTube
今の俺はさしずめ「自転車乗りの煮びたし」か。汗と雨に加え身体に塗った「特選馬ぁ癒」(馬油)の匂いもミックスされ、スゴイ事になっていた。会計時にカウンターから一歩下がるようになる。
(10/9 日)
04:00 378km 24時間00分 静岡県富士市五貫島 グロス時速15.8キロ
道の駅富士で24時間目を迎えた。ゴールまで後146km。
雨が強くなっていた。缶コーヒーを飲み、一息入れた。あと6キロ、グロス時速を上げられればキャノンボール達成だ。って。いうーてもなー。
そして、再び走り始める。
05:22 400km 25時間22分 静岡県沼津市平町 沼津警察署前
夜が明けてきたが、天気は降ったりやんだりのまま。一方、強い追い風が出てきた。それも強すぎて難儀する位。
箱根手前、三島のセブンで休憩してから、峠を登る。車の撥ねた水をかけられたりして、高性能のモンベルのゴアテックスレインジャケットにもさすがに雨が浸み込んできた。モンベルで売ってる防水スプレーや防水用洗剤買わなきゃなあ、俺は完全に箱根雨男だよなあ、なんて思いながら、1時間35分で峠に着いた。風が強く煽られるので自転車を降りて暫く歩く。靴がMTB用だからできる技である。小田原への下りは旧道を選択した。勾配の急な七曲りの区間は自転車を降りて進んだ。相当気を使ったので、湯本まで下りた時は、本当にほっとした。
小田原で休憩し、大磯、茅ヶ崎は海沿いの134号線を走ったが、疲れている時に、あんまん食べたのが良くなかったようで、胃がムカムカして吐きそうでスピードが上げられなくなってしまった。カフェイン入補給食で過剰摂取になっていたんだとも思う。実際吐いてみたが黄色い胃液しか出てこない。辻堂、戸塚、保土ヶ谷と、駅に近づく度にリタイアしようかと思ってしまう。いやいやいや、何の為に苦労して箱根を越えたんだ。記録作るんだろ。
横浜駅を過ぎた15号で漸く、ムカつきが治まってきた。日曜の15号は走りやすくスピードも30キロ巡航には戻ってきた。ただ久し振りに走るのでイメージと実際の距離がズレており、うわ、まだココまでしか来れてないのか、アレ? まだ先があった、と思いながら走っていた。
そのクセ、京橋でモンベルの店を見つけたら、防水スプレー買おうと止まって鍵をかけていた。その段階でゴールするのが先だろ!と思いだす始末。でも鍵かけちゃったし、速攻で買えばいいや、と店に入って購入。ゴールした後に戻るのはツライと身体が勝手に動く位、疲れていたのだな。
そして。
15時37分 527km 35時間37分 日本橋にゴール。グロス時速14.8キロ
ピンクのナカガワ乗りの方に写真を撮ってもらった。
計画では自走でウチまで帰る予定だったが。大手町から電車に乗る事を選択。
駅までC美に迎えに来てもらった。
翌日は雨の中走った自転車を整備し、酸素カプセルとマッサージで回復に努めた。
〇走行データ詳細
走行距離 527.6km
走行時間 25時間35分(10/8 4:00-10/9 15:37 TOTAL 35h37m)
熱量 6,586kcal
心拍数 平均126bpm/最大173
速度 平均20.6km/h/最大53.0(グロス時速14.8km/h)
ケイデンス 平均75rpm/最大198?
獲得標高 3,846m
平均気温 22℃(最低17℃・最高29℃)
〇費用 32,786円
交通費(新幹線): 15,850円
宿泊・食事:11,180円
補給:5,756円
10/8 07:18 FM 三重県伊賀市長田
09:53 MS 三重県亀山市井田川町
11:21 SE 三重県三重郡朝日町
14:38 藤田屋 愛知県知立市山町
15:09 FM 愛知県知立市山町
16:55 FM 愛知県豊川市長沢町
19:28 CK 静岡県浜松市西区舞阪町
21:33 LS 静岡県袋井市川井
10/9 00:09 CK 静岡県藤枝市上青島
02:55 スマル亭 静岡県静岡市清水区由比西倉澤
04:00 道の駅 静岡県富士市五貫島
05:54 SE 静岡県三島市谷田
10:01 SE 静岡県小田原市東町
LS 神奈川県横浜市戸塚区吉田町
FM 東京都大田区仲六郷
※15:37 ゴール 東京都中央区日本橋
〇追加装備代 11,000円
レインシューズカバー、レインキャップ: 8,640円
タイヤチューブ×2本:2,360円
了。 〈2016/10/23〉