(10/24)
綿畑と言えば。「ブルースの故郷」が自分の答え。29年前ミシシッピ州を旅行した時は、綿畑プランテーションの脇を何回も通った。季節は春。実りの時期ではなかったので、印象はあまり残っていない。とはいえ。 デルタブルース博物館訪問の記念には、摘み取った綿をまとめて運ぶ袋のミニチュアを買っていた。
2018年に境港に来て、弓ヶ浜半島が江戸時代、綿の名産地だった事、それを復活させて伝統を後世に伝えようとしている事を知った。綿畑はアパートのすぐ近く。花が咲いたり、実から綿が飛び出してるのを見ていた。(弾ける、と言うそうだ)
そんな時、シャツをフルオーダーで制作する仲里さんの記事を読み、ホームページに行った。
その後1年位(それ以上かも)、逡巡していた。服は低価格モノで済ませて、他の事にお金を使ってきたので。だいたいオシャレして行く場が、殆どない生活してるやん。そう思いつつも、実物が展示してある、海とくらしの資料館と、米子の天満屋に行った。生地の風合いが良い感じで、ますます着てみたいと思った。タグについてるキャラクター、ユミーとハマーもグッドっすよね。(てっきり別のデザイナーがいると思っていたが、仲里さん自身の創作だった。多才な人だ。)
買うと決めた後。まず天満屋で定期的に開催されているオーダー会に行って、どんな時に着たいかを話した。2回目に襟はボタンダウンにする等仕様を決めながら、採寸した。自分の希望に対する提案を受けたり、彼の質問に答えたりする以外に、いろんな話をしながら作業は進んで行く。終わる頃には、伯州綿のシャツというよりも、仲里さんが作ったシャツを着たい気持ちになっていた。彼も自転車乗りだ。富士ヒルクライムの記録が1時間10分位というから相当強い。シルバーリングが獲得できるタイムだ。富士ヒル距離24km、獲得標高1,225m。参加者の平均タイムは1時間49分。
で。今日は仮縫い。型紙を元に作られた普通の綿生地の仮シャツを着て細部を詰める。フルオーダーこその工程で、生まれて初めての経験。Garage Bar conguista with Barber YOMOのサイクリングイベントの後、福定町の工房を訪問した。
袖を通した瞬間、えっ、と驚きが来て、思わず笑顔になる。こんなにしっくりくるものなのか! いつも着ている低価格品とはもちろん、ずいぶん昔に作ったイージーオーダー品の記憶と比べても、まるっきり別物だった。腕を回してみたり、鏡で姿勢をみたりして着心地をさらに確認する。自転車のライディングフォームをとったら、大ウケで、彼は写真を撮った。自分はどんな服でも試着する時やっているので、同じ事をやる自転車乗りは多いと思い込んでいた。(撮影時以外はマスクを着用しています。)
胸ポケットの位置を少し高くしてほしい(体がカタイから)以外は、バッチリだ。希望したデザインなのに、想像していたよりずっとカッコいい。凄腕だな。全く知らなかった世界を見たよ。なんかずっと笑っていた。
その後、裏庭で栽培している伯州綿や洋綿を見せてもらう。綿をひとつ摘ませてくれた。条件反射か、頭の中でジェイムズコットンのCotton Crop Bluesが流れた。歌詞の意味を良く分かっていないが、辛い労働なのに何も得られないという歌のはずだ。対してこの時自分は、ワクワク! 迷っていたからこの季節になったけど、結局良かったわ。
出来上がって、初めて着る時がとても楽しみです。
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シャツの話は受領編に続きます